「埋葬」
悲しみを通り抜けて、海の森にひたひたと浸かっている。
生き物はすべて去った後だった。私は一人で何かを待っている。
風との抱擁は掴みどころがなく、まっさらで空虚だ。
それでも風と抱き合うことに私は意味を見出したがった。
私の見つめる瞳には何が映るのだろう。
きっと海の色も空の色も溶け込んで、
しかし、ただ一色であるはずのない、多様な世界をそこに湛えている。
待ち疲れ、海の森を歩いていると、
戦いに敗れた者の、思い出だけが生き甲斐のような人を知る。
余生を過ごす若者の灯火では明るくならない街に、
私はただ祈ることしかできない。
どんなに悲しくても傷を負った足のない青年に、ついに同情することはなかった。
青年の魂は跡形もなく消えたのか。
そんなはずはない。
葬られるのはきっと思い出ではない。
私の愛。