Emu’s blog

よくある日記

詩とか替え歌とか詩のような何か

「埋葬」

悲しみを通り抜けて、海の森にひたひたと浸かっている。 生き物はすべて去った後だった。私は一人で何かを待っている。 風との抱擁は掴みどころがなく、まっさらで空虚だ。 それでも風と抱き合うことに私は意味を見出したがった。 私の見つめる瞳には何が映…

「はじまり」

花咲くこの道にそぐわぬ私の自意識よ朽ちて誰かと出会っても癒せぬ膨らんでゆく孤独を知る十五の月夜の夏のこと囚われた街に同化する悪夢を見る消えたいの……?消えない……?消えてしまう瞳救いは袂に本を開いて君と出会った意識は彼方へと世界と繋がる拓かれ…

「記憶」

眩い日差しの下、草花をキャンバスに描いた幼い君はその光景が脳裏に焼きつき、何十年と反芻することになるとは露程も思わなかっただろう おぼつかない心のままにみんなと歌ったあの日ももう二度とやってこない輝かしき日だとは自覚していなかっただろう 苦…

「春」

用水路に棲まうメダカの群れより 外れるメダカがひとつ、ふたつ 次第に増えてはまた小さな群れとなり廻る 人のゆく宛は元よりあるか 堆積する時間感覚の中に生きる旧い者たちの 夢見る発展形のなかで逸れる者がひとつ、ふたつ 次第に増えては群れとなり立ち…

「双極性障害」

結った黒黒とした髪が揺れます なびくのは私か、貴方か、ただの後れ毛かそれも定かではありません はらくだ色の麦わら帽子を被り、貴方と住宅街を忍ぶように歩きます 色とりどりの家々は賑やかに、伸びたり縮んだりして周囲を受け入れているようです はらり…

「いのちの万華鏡」

暗闇に抱かれて 幾千の星々と共に歩んでいる 生命の網の目の中で 万華鏡となって映るその美しさを 私は何度だって思い浮かべて触れることができる あなたがその中にいることを 私は幾度も確かめることができる あらゆる自然から 私はあなたの片鱗を見る 何ひ…

「水のもの」

澄んだ貴方 飲み干す私 不純なものが 押し出されていく 透明な貴方は 身体中を巡り そして 私に取り込まれる 夢は叶えられ ひとつにふたつがあるようだ 波紋を呼ぶ静かな水面 衝動を喚起するその力を前に 風はヒュウヒュウと 全身を震わせて 揺れることしか…

あなたのいない時間が憂鬱で仕方がない

ネットを見ていた。弛れた時間を過ごしている。見ていたのは、アップローダーというサイトだった。誰でも手軽に画像や音楽、動画ファイルをネットにアップロードすることができるというサイト。アップロードすると、URLが手に入るので、それを人に知らせるの…

「祈り」

何の特徴もない花を噛み砕き 滲んだ血で白い壁を塗り ひしひしと心に亘る躍動に 狂気のしらべを君は見る 聴くのをやめろと言い做して 異なるしらべを君が聴き通うまで 私の心はどこへゆく 極寒の地へ行けども 光を閉ざせども安寧があり いつまでたっても到達…