「祈り」
何の特徴もない花を噛み砕き
滲んだ血で白い壁を塗り
ひしひしと心に亘る躍動に
狂気のしらべを君は見る
聴くのをやめろと言い做して
異なるしらべを君が聴き通うまで
私の心はどこへゆく
極寒の地へ行けども 光を閉ざせども安寧があり
いつまでたっても到達しえない
その境地は、花は袂にある
分かつまでは打ち守ると
時折嘔吐きながらも怺える
「花に特徴は本当にないのか」
「異なるしらべはいずこか」
色々な問いかけを私は飲み込み
ひとつの花を君に差しだし続ける
目に映らぬ侘しさを抱え
また血で滲む君の知らぬふりはできず
「袂にある花それには億万の繋がる脈があるのだ」と
生命の輝きと秩序の発端を見ている私は
そっと君の滲んだ唇に花で触れていう
血で染まる花びらを見
ふと気づいた私はさらにもひとつ気がつき
切り刻もうとした己の腕で花の絵を描き始めた