Emu’s blog

よくある日記

薄い緑や青色の涼しげな色の珠が連なる。

 天然石の丸ビーズが光を透過し、反射してキラキラと輝く。薄い緑や青色の涼しげな色の珠が連なる。数珠のようなブレスレット。白い壁に画鋲を打ち、そこに引っ掛けて写真を撮る。太陽光が良い仕事をしてくれる。真っ白な壁に映えるアクセサリー。あの人に見せたい一心でいた。今頃どうしているのだろう。

 私はモノを好きになることはできなかった。このブレスレットもブレスレットだから好きというわけではない。色。色彩。そのバランスの良さが好き。その色の配列や、石の質感、光を通した時の輝き方、そういったところが好きでずっと眺めていたくなる。それは身につけなくても良い。むしろ、肌につけた時より、白い壁やテーブルの上に載せた時がずっと好き。好きな色彩がそこにあればモノは何であっても良い。透明感のある水色系統のネイル。レジンのアクセサリー。そういったハンドメイドのモノはもちろん、季節ごとに、そして日毎に変化を見せる空も美しい。薄い色味の、あるいは青系統の花々も好き。

 好きな色彩に囲まれたい。そして光に溢れた部屋に居たい。でも、実際はどうだろう。小物の色は統一しきれない。人からの貰い物もそんな簡単に捨てられない。そういったどうしようもないモノが部屋のあちらこちらにある。私が最も嫌だったのは、親が勝手に付けていったくすんだピンクのカーテン。薄いピンクならまだしも、ひどくくすんでいる。それも古めかしい色味で「おばあちゃんの家」感が出てしまう。そのカーテンのおかげで部屋の調和は完全に乱れてしまった。他のものをいくら青と緑に統一していても、カーテンがくすんだピンクである時点で何もかもが台無し。

 あの人はいつも青色だ。薄い青。濃い青。いろいろあるけれど、とにかく青色だ。青を纏うなんてズルイ。私はあの人に惹かれながらそんなことを思う。よりによってセロトニンアセチルコリンが分泌されそうな色を、つまり、知的でリラックスできる私の好きな青系の色を多用する。その魅力に引き寄せられて抵抗できない自分が嫌でならない。

 けれども、青色自身に罪はないし、私は勿忘草も紫陽花も露草も本当に好きで、きっとあの人も同様にただ好きなのだと思う。その色を選ぶことで私の気を引こうだなんて微塵も思っていない。

 青いものを見ていると、本当に心が安らぐ。生得的なものなのか、後天的なものなのか、よく知らないけれど、静かにその美しさを湛える花々に私は甚く感心してしまう。先程までイライラしていたことも色彩を見つめているだけですーっと遠のいていく。そして、さまざまな美しい色彩を見せてくれる光の存在を、必要でもあり、注意を払わないと気づかないようなものでもあるなと天然石のブレスレットを手の上で転がしながら考えていた。午後3時。